アソウ・ヒューマニーセンターグループ人材白書
Quarterly Report vol.16 2007年10月発行

転職者採用成功の鍵は、エージェント活用にあり

厚生労働省の調査(※)によれば、常用労働者に占める転職者の割合は8.2%。
同じく一般正社員に占める割合は5.4 %。「特定の能力」の確保や「育成の手間を省く」ために
企業の人材活用戦略の重要課題となった「転職者採用」。転職者採用の成功の鍵を探りました。
※ 厚生労働省が平成18年9月に調査した「平成18年度転職者実態調査結果」
(事業所調査と個人調査からなり、有効回答数はそれぞれ4,632 事業所、4,319 人)

5割の企業が今後3年間に転職者の採用を予定

転職者を優先して採用する理由

景気回復を背景に、逼迫感すら出てきた人材市場。優秀な人材の確保は、企業の業績と成長に直結するだけに、人事担当者の苦労はしばらく続きそうです。
近年、新卒採用環境の厳しさを反映して、人材戦略において中途採用者の活用を積極的に行う企業が増えています。独立行政法人労働政策研究・研修機構が、平成19年1月に全国の10,000社に対して行った「経営環境の変化の下での人事戦略と勤労者生活に関する実態調査」(有効回収数は1,291社) でも、「人材の活用・確保について重視する」項目で、これまで重視してきた事項を聞いたところ(重複回答)、「中途採用者の活用」を挙げる割合が62.5%と最も高く、次いで「新規学卒者の定期採用」(57.9%)、「非正規社員の活用」(52.1%)の順となっています。
 また、厚生労働省の調査(※)によれば、今後3年間の一般正社員の転職者の採用予定では、「今後採用する予定がある」と答えた企業が53.8%と過半数を超えています。また事業所規模が大きくなるにつれて、「今後採用する予定がある」事業所割合が高くなっています。採用の内容は、「積極的に一般正社員の転職者を採用したい」が42.8%、「新規学卒者より一般正社員の転職者を優先して採用したい」が17.4%となっています。
 また、転職者を優先して採用する理由としては、「特定の能力を持つ人材が欲しいから」(67.9%)が最も多く、次いで「正社員の育成の手間を省くため」(29.2%)、「一般正社員の転職者の方が定着率が高いため」(22.2%)の順となっています。

転職理由トップは「給与・待遇への不満」  希望は「成長できる環境」や「職務内容」

転職を考えたきっかけは何ですか?

一方、求職者側は転職に対してどのように考え、またどういう理由から転職を決断し、転職によって何を実現したいと思っているのでしょうか。人材サービス企業のE社が、平成18年11月?12月にかけて実施したユーザーアンケート調査(有効回答数549名)によれば、「転職についての今の状況」についての質問では、「具体的に転職活動を進めている」(48%)、「良い求人があれば転職を考えたい」(36%)となっています。また「転職を考えたきっかけは何ですか?」(複数回答可)という質問に対しては、「給与・待遇に不満があった」(47%)が第1位で、次いで「会社や業界の将来性に不安を感じた」(43%)、「会社の考え・風土が合わなかった」(40%)となっています。また「転職で実現したいことは何ですか?」という質問に対しては、第1位が同じく「給与・待遇のアップ」(65%)で、以下「自分自身が成長できる環境での就業」(53%)、「安定的・長期的な就業の確保」(48%)となっています。つまり、転職希望者の多くは、「給与・待遇への不満」を持ち、転職によって、「給与・待遇のアップ」と「成長できる環境での就業」を求めていることがわかります。
 この点については、アソウ・ヒューマニーセンターのエージェント事業部の東京・大阪・福岡各拠点担当者が転職希望者からヒアリングした内容とも合致しています。「転職を考える理由」としては、「待遇・条件」では各拠点とも「年収への不満」がもっとも多くなっています。次いで、「職場環境」における「人間関係の悪化」、「職務内容」での「評価の低さ」「業務の物足りなさ」(東京)、「職務内容への不満」(大阪)、「キャリアアップできない」(福岡)などが挙がっています。そして「転職で実現したいこと」も、「待遇・条件」では「年収アップ」が各地区共通のトップ項目であり、次いで「職務内容」の「希望する仕事ができる」(東京)、「キャリアアップ」(大阪・福岡)となっています。

転職者採用に「問題あり」が84.5%  課題はマッチングや能力の見極め

一般正社員を採用する際の問題点

これまでのデータから、「転職」に対するニーズは、求職者側、求人側いずれでも高いことがわかります。では、実際の転職活動はスムーズに行われているのでしょうか。残念ながら、必ずしもそうではないようです。前出の厚生労働省の「平成18年度転職者実態調査結果」において、一般正社員を転職者採用する場合の問題の有無をみると、「問題がある」が84.5%となっているのです。その具体的な内容(複数回答)としては、「必要な職種に求職してくる人が少ないこと」(58.8%)、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」(48.6%)、「求職者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」(41.2%)などを挙げています。つまり、求職者側と求人側のマッチングや能力の見極めなどがうまくいかず、企業サイドでは求人ニーズにあった転職者を採用するのに苦労していることがわかります。
 こうしたことは、アソウ・エージェント事業部が平成19年8月に行った、「中途採用に関するアンケート」での採用担当者の声にも表れています。中途採用で「苦労する点」で特徴的な意見としては、「母数は集まるが、マッチング率が悪い」(ソフトウェア)、「人数は集まるが、希望する人材が一回で見つかる可能性が低い」(放送)、「良い人材が集まらない」(商事・製造業)という人材の質に関するものでした。では、人材の質について、企業側は求職者のどのような点を選考のポイントに挙げているのでしょうか。やはり、いちばん多いのは「業務経験」「職歴」「資格・スキル」といった人材の能力でした。そして、各企業が共通して重視している意外な要素が「人柄」であり、「年齢」を上回るポイントとして挙がっています。

転職者の半数がエージェントを活用  企業側は人材の質とコスト面で期待

就職するためにどのような求職活動をしましたか?

では、「転職」や「中途採用」を成功させるためには、どのような方法を選べばいいのでしょうか。 有力な解決方法のひとつが、人材紹介会社(エージェント)の活用です。前出の人材サービス会社E社のユーザーアンケートでも、「転職を成功させるために具体的に行っていること」として、「できる限り多くの求人情報を収集すること」(71%)に次いで、「人材紹介会社を利用する」(56%)が第2位となっています。
 また、厚生労働省の「平成18年度転職者実態調査結果」の「個人調査」でも、「就職するためにどのような求職活動をしたか(複数回答)」をみると、大卒では「ハローワーク」(41.0%)、「人材紹介会社」(30.3%)、「求人情報専門誌」(27.4%)の順となっています。そして大学院卒では、トップが「人材紹介会社」(51.9%)で、次いで「企業のHP」(33.8%)、「ハローワーク」(17.5%)の順となり、高学歴者ほど人材紹介会社の利用が高いことがわかります。
 企業側はエージェント活用に対して、どのように考えているのでしょうか。アソウ・エージェント事業部が実施した「中途採用に関するアンケート」によると、エージェント利用の実績がある企業は、そのメリットとして大きく「ミスマッチングの防止」と「コスト&手間の削減」を挙げています。反面、「利用しない理由」では、「コストが高い」「仕組みやかかる費用がわからない」などが出ています。また「エージェントへの要望」として、「より企業のニーズにマッチした人材の紹介」や「成功報酬利率の低減」「柔軟なコスト対応」などの意見が聞かれました。これらからは、エージェント活用が、転職および中途採用の主流となりつつあること。また企業側からは人材の質やコストの面でエージェントへの期待がますます高まっていることが伺えます。

『何のために働くのか』を深く考えた求職側と求人側のマッチングが大切

これまで見てきた最近の転職市場の状況について、アソウ・エージェント事業部・東京本部の秋月智行は、根底にはもっと本質的に突き詰めた問題が横たわっていると指摘します。
「転職市場は、確かに求職者も求人も多くなっています。しかし、企業のニーズにマッチする人材は少ないのが実情で、求職者側からの転職のハードルも年々高くなっています。年収や待遇のほかに、仕事の内容や人間関係を大きな理由として転職する人が多いわけですが、会社と自分がやりたいことがマッチングできていないのは、そもそも新卒時の就職活動に問題があったからです。SBIホールディングス代表取締役CEOの北尾吉孝氏が、その著書『何のために働くのか』でも述べているように、何のために働くかということは、人生をどう生きるのかとイコールなんですね。しかし、そこのところを十分に考えないままに就職してしまう。だから上司から怒られたりすると、簡単に辞めて転職しようとする。しかし、現実はそんなに甘くない。また転職できたとしても続かない。企業側の採用も転職3回目が限度です。求職者側は、この『何のために働くのか』を十分に考えることが必要でしょうね。また採用する企業側も、業務経験や資格・スキルといったスペックばかりを見るのではなく、もっとその人がどう生きていこうとしているのか、そして会社の中で自分をどう生かそうとしているのかを探るべきではないでしょうか。会社で働くということは、単に収入を得るだけでなく自分を人生で表現することなのです。ですから、その部分がマッチすれば簡単に辞めることはないと思いますね。」
 こうした求職者と求人側のお互いのニーズや主張を間に入って調整・代行し、スムーズな転職を実現するのがエージェントの最大の役割だと言います。
 「求職者と求人側のホンネの部分を聞き出し調整することで、より精度の高い転職者採用を実現します。やはり、給与や待遇面などの条件、また具体的な仕事内容などは、当事者間では言いにくかったり、伝わらない部分も多いですからね。また企業側は採用条件に合った人だけと面接すればいいので、よりスピーディーで効率的な採用活動が行えるメリットがあります。当社は、単純に求職者と求人側のデータをマッチングさせるのではなく、より深く求職者のニーズを聞いて、逆に求人企業を探すケースさえもあります。さらに、九州に持つネットワークを生かして、九州地域の人材採用をお手伝いしたり、また九州から首都圏へIターンを希望する優秀な人材、また九州へUターンしたい人材に対しても強みを発揮できると思います。大手の人材紹介会社とはひと味もふた味も違う、アソウならではのエージェント機能をぜひご活用頂き、御社の人材戦略に生かしていただけることを願っています。」

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