アソウ・ヒューマニーセンターグループ人材白書
Quarterly Report vol.7 2005年7月発行

雇用環境は売り手市場へ 着実な求人活動で人材確保を

2004年度の完全失業率は4.6%と前年度より0.5ポイント改善。
雇用情勢が好転するなかで、企業の求人内容も非正規より正規雇用を重視する傾向が鮮明になっています。
しかし一方では、ニートの問題や雇用のミスマッチも依然として続いています。
雇用環境と人材採用のポイントについて、(株)内藤一水社九州支社の田渕厚氏にお聞きしました。

改善が続く有効求人倍率 正社員や新卒の採用も増加へ

厚生労働省の「職業安定業務統計」によれば、平成17年3月の有効求人倍率は、福岡県で0.72と昨年3月の0.60から0.12ポイント改善しました。ちなみに九州では大分県の0.83がトップです。また新規求人倍率では、福岡県が1.13と九州ではトップになっています。このように雇用情勢は改善の傾向が顕著になっているといえるでしょう。

完全失業率者の対前年同月増減と完全失業率(季節調整値)の推移/総務省 

また、新規求人状況の内訳を見ると、フルタイムで働く正社員の求人は04年度に前年度比で14.2%増えています。7.7%増にとどまったパートや臨時・季節労働など非正規社員の2倍の水準で、2年連続で正社員の求人の伸びが非正規社員を上回っています。これは当社が扱う新聞求人欄への広告出稿が、5月時点の金額ベースで前年比117%と好調なのもそれを裏付けています。
 来春の新卒者採用計画を見ても、今年5月に九州・山口の主要企業50社に対する毎日新聞社の調査によれば、「増やす」と回答した企業が約4割にのぼっています。
  しかし、その背景には製造業を中心とした景気回復があるものの、ここ数年の採用抑制による人員減の反動や、団塊世代が大量に定年退職を迎える「07年問題」の影響も大きく、今後も増加傾向が続くかどうかは微妙のようです。

流通・外食などが採用をリード 製造業は人材補充の傾向が強い

企業の採用意欲を業種別に見てみると、流通・外食産業などの店舗拡大に伴う積極的な計画が目立っています。前出の毎日新聞社の調査によると、イオン九州、ミスターマックス、プレナス、ジョイフルが今春実績比2~3倍を採用する計画です。また不良債権処理にメドをつけ業績が回復した銀行の採用増も目立っています。
ただそうした企業は一部にとどまり、近年の採用抑制や「07年問題」の対応に迫られて増やす企業も多いようです。特に鉄鋼や半導体など製造業では「景気に左右されず一定数を採用する」「年齢構成のひずみを正すため」など、必要な人材だけを確保しようという姿勢がうかがえます。一方、新卒とは別に06年度に通年採用を予定している企業は50社中16社で、トヨタ自動車九州(数百人規模)、ミスターマックス(50人)、ゼンリン(50人)など、新卒以上の人数を予定し、即戦力を求める傾向が強いようです。

ミスマッチでの離職率が上昇 定着をいかに図るかもポイント

こうした新規求人者数の増加が続く一方で、依然として高止まりしているのが若年層の離職率です。入社3年以内の離職率は「七・五・三」といわれ、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割。厚生労働省によると、入社後の早期離職率は徐々に上昇しており、若年失業者の高まりの主因となっているとしています。
ですから人材採用に当たっては、定着率を考えた採用選考が重要なポイントのひとつとなってきます。辞める最大の理由は仕事とのミスマッチで、そのため適性テストを重視したり面接回数を増やす企業が増えています。また大きな背景としては、企業側に人材を教育するゆとりが失われ、新人にも即戦力を求める傾向が強くなっていることがあります。これに対して、コミュニケーション力不足やプレッシャーに弱いと言われる現代の若者たちがついていけないという状況もあるようです。
加えて最近では、仕事や就労への意欲そのものが欠如したニートも大きな問題となっており、政府も対策に乗り出しています。企業側にも、採用に当たっては人材を育てるという姿勢とゆとりがほしいものです。
企業の求人が増える一方で、なかなか募集しても人材が集まらない職種もあります。好調な出店が続くドラッグストアなどの薬剤師やコンピュータ関連技術者、さらに介護福祉関係が代表的なものといえるでしょう。そのほか、休日出勤が多い住宅メーカーの営業職なども敬遠されがちです。これからの職種では、勤務地や休日などの条件を求職者の希望に沿うカタチで変更したり、年齢制限を緩和したりする工夫が必要でしょう。

適切な求人媒体選びと 採用コストの意識が大切

実際に採用活動を行うにあたって重要なのが、どういう求人媒体を使うかということです。まず正社員を採用するのであれば、新聞の求人欄へ出稿するのがいいでしょう。また新聞の中でも読者層や発行部数に違いがあるので性質を見極めた出稿がポイントです。一方、契約社員や嘱託、パートなどは求人雑誌や新聞の合同チラシなどが適しているといえるでしょう。なお最近急速に部数が伸びている求人のフリーペーパーは、確かに問い合わせの反響は大きいようですが、求める人材層が集まるかどうかには疑問があります。
またインターネットの大手求人Webサイトを使った採用は、こと九州に関してはまだまだ反応が弱いと言わざるを得ないようです。ことに中小企業や女性スタッフの採用に関しては避けた方が無難のようです。そして、良く聞かれるのが、そうした求人媒体にかける採用予算です。私どもでは、だいたいの目安として正社員一人に付き、一人分の初任給は必要と説明しています。つまり約20万円前後はかかると見ていただければ間違いないでしょう。

やがては売り手市場へ 着実な人材採用のススメ

現在の求人増加の背景には、確かに団塊世代の大量退職に伴う補充や、近年の採用抑制の調整という側面も大きく、景気の回復に伴う採用増には各企業とも慎重のようです。しかし、少し長い目で見れば、求人市場は売り手市場に移行していることは確実のようです。ですから、景気回復が本格的になった時には、企業間での人材の取り合いも予想されます。その背景には、長期的な少子化の流れのなかで新卒者が減っていること、また全国84万人と言われるニートの増加などが挙げられます。
ですから、景気回復が本格化したら採用しようと考えていても、なかなか思うとおりには人材が確保できない可能性も大きいのです。これを避けるためには、今から少しづつ人材を採用していくことをおススメします。さらに、入社後に教育期間を設ける余裕をもって採用していただければと思います。この10年間、企業の人事担当者の方は、さまざまな面で苦労が多かったと思います。今後の人材採用に当たっても、求職者のニーズをつかんだ採用情報の提供や慎重な面接等を通じて、確実な人材採用に成功されることを願っています。

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